縁貼りの新方式「ゼログルーライン」

縁貼り加工において、すでにヨーロッパを中心に流行が見られる縁貼り方式「ゼログルーライン」があります。従来のホットメルト(EVA)やポリウレタン(PUR)の接着剤を塗布して、エッジ材を基材に貼り付ける方式では、パネル表面とエッジ材との隙間に、どうしてもグルーラインが目立ってしまいます。しかし、「ゼログルーライン」の技術を使って縁貼りを行うと、このグルーラインが目立たない仕上りを実現できます。そして、グルーラインをなくすことで、様々な効果を得ることができます。
  • 境目が目立たず、塗装仕上げをしたように見た目が美しい
  • 手触りも滑らか
  • 接着力が強くはがれにくい。従来に比べ約5倍の接着強度
  • 防水性能が向上
  • 汚れや接着剤の変色もなく、長期間色褪せずに美しさを維持
  • 抗菌効果もあり衛生的でキッチン周りにも最適
「ゼログルーライン」のしくみ
こういった数々の利点から、「ゼログルーライン」の技術は、水回りのキャビネットをはじめとした様々な分野で活躍しはじめています。

「ゼログルーライン」の技術は、エッジ材と基材の間に糊を塗布するのではありません。あらかじめ接着層が仕組まれた専用のエッジ材を使用します。押出成形され接着層と一体となったエッジ材に熱を加えることで、基材に貼り付けていく手法です。接着強度も従来に比べ5倍と言われています。

専用のエッジ材ですが種類も豊富です。大手エッジ材メーカーからは、トレンドのハイグロスやテクスチャーを含んだ豊富な商品レンジも入手可能ですし、パネル表面材と同じ色・デザインを揃えることもできます。木縁の貼り付けや後工程で塗装を行うよりもはるかに低価格で、仕上り品質の高い縁貼りが実現します。
接着層を熱で溶かす技術としては、レーザー方式が有名ですが、レーザー方式は一般的に高額で、機械の導入コストが高くつくと言われています。高速で送材する大量生産工場には向いていますが、中規模の生産工場にはやや不向きな面も否めません。そこで、今回はもっとお手頃なホットエア方式のSCM「エアフュージョン」をご紹介します。
SCM「エアフュージョン」
SCMがご提案するホットエア方式のソリューションが「エアフュージョン」です。これは、約400-650℃の熱風を加えることで接着層を溶かして縁貼りを行います。エッジ材はレーザーと同じものを使用し、仕上り品質も同等です。
「エアフュージョン」は、薄物から12 mm厚までの木縁まで貼ることができるSCM製ミドルレンジのエッジバンダー「Stefani」に搭載できます。第1押えローラー直前にノズルが配置されており、ここからエッジ材に直接、強い熱風が吹き付けられます。そして、エッジ材に仕組まれた機能層が反応し、「ゼログルーライン」の縁貼りが行われます。

また、「エアフュージョン」はコンパクト設計のため、ノリを塗布する従来方式を追加装備して、1台で新旧の両方式に対応させることも可能です。DKSH神戸ショールームには、Stefani KD-HPが展示されていますが、本機はホットメルト(EVA)塗布装置との兼用機となっています。
「エアフュージョン」の詳細設定は、操作パネルで管理できます。パラメータ設定はどれも分かりやすいアイコン操作で、誰でもすばやく簡単に動作設定を行うことが可能です。
「エアフュージョン」の更なるメリット
この「エアフュージョン」を導入すれば、レーザーよりも安価で導入でき、なおかつ面倒な糊タンクのメンテナンスも不要となります。さらに言えば、糊のはみ出しが発生しない為、拭き上げ作業など後工程の仕上げの手間も不要となり、人件費削減効果が期待されます。その上、接着剤の購入も不要となるため、ランニングコストも抑えることができます。

そして、さらにSCMは「エアフュージョン」の改良を達成しました。エアフュージョンの旧モデルと比較して、加熱時間を50%短縮させることで、生産性を10%も向上させることに成功しました。
このように美しいゼログルーラインの仕上りが手に入る新しい縁貼り方式「エアフュージョン」。いかがでしたでしょうか。本装置が搭載されるエッジバンダー「Stefani」は、中小規模のパネル生産工場や、中規模レベルの家具メーカーに最適のパフォーマンスレベルを備えています。次回は、「Stefani」の特徴に迫っていきます。
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